いわゆる「コミュニケーション能力」を高めたい人、多いと思います。
iSee-Labでは、先日の記事「信用できる人・信用できない人の見分け方」でも触れた通り、
- 自分の考えをしっかり持ち
- 弁が立って
- その場を仕切れる
ことを「コミュニケーション能力」があるとは必ずしも考えていません。
Wikipediaによると、
一般的に「他者とコミュニケーションを上手に図ることができる能力」を意味する。
出典:wikipedia コミュニケーション能力
と定義されていますが、漠然としていてよくわかりませんね。
では具体的にはどんな能力でしょうか。
今回のiSee-Labの記事では、「相手から知りたい情報を聞き出す」能力と定義づけしてみました。
(※”聞く”のではありません。”聞き出す”のです。)
iSee-Labの筆者はかつて、コミュニケーション・コンサルタント辻口寛一氏の有料(高額!)セミナーに参加したことがあります。セミナーでの学びを、あなたにもきっと役立つと思いましたので今回シェアします。
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目次
知りたい情報をなかなか聞き出せない原因は、質問の仕方にあった
「顧客の声を聞け!」とよく言われませんか。顧客の要望やニーズを聞くためですね。ところが、実は顧客は自分自身でも、望ましい状態や課題についてよく分かっていません。
だから、顧客に向かって
- 「御社の課題は何ですか?」
- 「どうしたいですか?」
- 「どんなニーズをお持ちですか?」
といくら尋ねたところで、相手は「うーん・・・」となってしまいます。
そんな経験ありませんか。
質問には2種類ある
辻口氏曰く、質問には、
- 思いだせば、答えられる質問
- 考えなければ、答えられない質問
の2種類があります。
2種類あるうちの“考えなければ、答えられない質問”は、 答えることが難しいのです。
何故なら、その答えは暗黙知であり、質問された本人でも、答えをはっきりと認識していないからです。
【事例】最初に「考えなければ、答えられない質問」を投げかけた場合
例えば、ある父と娘の会話から考えてみましょう。
ある日、父親のところに娘が「結婚したい人がいる」と言ってきたとします。父親が一番知りたいのは、「娘と結婚する相手がどんな人なのか」ですね。
仮にここで、父親が娘に向かって「相手はどんな人なんだ?」と質問してみると、娘は「うーん・・・」となってうまく答えられないことでしょう。
何故なら、この質問は、“考えなければ、答えられない質問”だからです。
娘は普段、「相手がどんな人なのか」を考えて、その人と過ごしている訳ではないからです。
この例に限らず、多くの質問は、
- どんな
- どうして
- どうやって
といった質問です。
これらは、“考えなければ、答えられない質問”ばかりです。
こういった質問を唐突にぶつけてた場合、相手の反応が
- 「あー・・・」
- 「うー・・・」
となってしまった経験はあなたにもありませんか。
まずは、“思い出せば、答えられる質問”で考える材料を
では、どうすれば、自分の知りたい事を相手から引き出せるでしょうか。それにはまず、“思い出せば、答えられる質問”を投げかけることです。
例えば、
- 「付き合い始めたのはいつごろか」
- 「どこで知り合ったのか」
- 「どこの出身の人なのか」
・
・
・
これらは、全て”思い出せば、答えられる質問”ですよね。
この質問に答えているうちに、娘の頭には相手について、考える材料が並びます。
その彼についてのイメージが浮かんだところで、父親は「彼は、○○な人柄の人なのかな?」とまた質問を投げかけます。すると娘は、「そうではなくて、○○な人なのよ」と答えやすくなります。
相手の要望(ニーズ)を聞き出すには?
身近な例でも考えてみましょう。
「あなたは今日の夜、何が食べたいですか?」
これは、“考えなければ、答えられない質問”です。
では、“思い出せば、答えられる質問”からのアプローチではどうでしょうか。
- 「今朝は何食べましたか?」⇒(例)パンです。
- 「では、昼はどうでしたか?」⇒(例)ラーメンでした。
これで、相手の中では食べるものを考えるための材料が並ぶことになります。
そうすると、例えば、
- 相手の頭の中では、そういえば炭水化物ばかり食べているな・・・
- 野菜が不足しているから採った方がいいな・・・
といったことが考えやすくなります。
そうしたところで、「じゃあ、今夜はどうしますか?」と質問すれば、例えば 、「野菜のたっぷり入ったよせ鍋がいいかな」といった答えが出やすくなりますね。
笑福亭鶴瓶氏は、知りたい情報を聞き出す達人
鶴瓶さんが出演しているのは、NHKの「家族に乾杯」という番組。この番組は、街に繰り出して、ぶっつけ本番で一般の人たちから家族に関する話題を聞き出していくといもの。
辻口氏がお手本にしているだけあって、鶴瓶さんの「思い出せば、答えられる質問」による聞き出し力が凄いです。
鶴瓶さんは、老夫婦のお宅に上がり込んで、まず「なれそめ」を聞き出し、次に奥さんから「嫁いだ頃の苦労話」を聞き出し、さらにご主人から「奥さんへの感謝の気持ち」を聞き出します。すると、奥さんが「こんなこと、結婚して初めて言われた」とカメラの前で涙ぐんだりします。これが、台本なしのぶっつけ本番で行われているのですから、すごいものです。鶴瓶さんは、出会ったばかりのごく普通の人たちから、まさに縦横無尽に深い話を聞き出しています。
出典:日経ビジネス 「聞き出す力」で人を動かす 鶴瓶さんとさんまさんに学ぶ「聞き出し方」
今回の記事のまとめ
知りたい情報を相手から聞き出すために、
まず、「思い出せば、答えられる質問」をする
⇒現状を把握できる・認識できる
次に、課題や理想的な状態についての質問をする
⇒既に考える材料が頭の中にあるから、相手も答えやすい
という順番で相手に質問をしてみましょう。
こうすれば、相手の潜在的な意識の中にある課題や理想的な状態を聞き出すことができる可能性が高まることでしょう。
いきなり“考えなければ、答えられない質問”をぶつけてはいけないのです。
このちょっとしたことを意識して、実践していけば、あなたが知りたい情報を相手からどんどん聞き出せるようになるかもしれませんよ。(もちろん、完全・完璧ではありませんので、責任は何も取りませんが。)
ご参考になれば幸いです。
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